「理屈はわかったけど、具体的に何をすればいいの?」
前回の記事では、社会人アスリートがトレーニングに取り組むべき理由についてお話ししました。前回の記事はこちら

今回は、実際に私のクライアントである40代ラクロス選手が、どのようなメニューを実施し、なぜ動きが劇的に変わったのか。そんなトレーニングの内容についてご紹介します。
「筋肉が邪魔で動けなくなる」という誤解
今回ご紹介するクライアント様は、もともとウエイトトレーニングの習慣はありませんでした。しかし、年齢による変化や小さな故障が重なり、「このままではいけない」と感じパーソナルトレーニングを受けられることになりました。
開始当初、クライアント様からは「筋肉を大きくしすぎると、かえって動きの邪魔になるのでは?」という不安の声もありました。まずはその誤解を解き、「動ける体を作るための筋トレ」の重要性をしっかりお伝えした上で、以下のメニューに取り組んでいただきました。
1. ウォーミングアップ:脳と筋肉のスイッチを入れる
いきなり重いものを持つのではなく、まずは「今から動くぞ」という信号を全身に送ります。
① バランスマットの上で片足立ち
- 狙い: 固有受容器(体の位置を感じるセンサー)への刺激。不安定な場所で立つことで、脳と筋肉の連携を呼び覚まします。
- ポイント: 上げる方の膝と股関節は90度。骨盤をしっかり立て、上半身が後ろに倒れないようキープします。
- 私の視点: 姿勢のブレ幅をチェックすることで、その日の調子や左右差を確認します。
- 目安: 左右各1分
② 片足立ちからの「つま先タッチ」
- 狙い: ①の発展形です。動きを加えることで、筋肉へさらなる刺激を入力し、意識下で体をコントロールする感覚を養います。
- ポイント: 膝・股関節・足関節の連動を意識し、「自分にとって一番スムーズな体の使い方」を探ります。
- 効果: 実戦の無意識な場面でも、体が勝手に上手く使えるようになります。
2. 基礎筋力の向上:エンジンを大きくする
③ ヘックスバー・デッドリフト
- 狙い: パワーを生み出す「エンジン」そのものを大きくします。当たり負けしない体と、爆発的な一歩を生むための基礎筋力を養います。
- ポイント: 膝が前に出すぎないよう注意。重さに固執せず、常にバーが同じ軌道を通る「正確な動作」を優先します。
- 瀬川の視点: 「今の自分」にとって適切な負荷を見極めることが、怪我を遠ざけパフォーマンスを最大化する近道です。
3. 実戦への統合:後半に強い体を作る
④ HIIT(高強度インターバルトレーニング)
- 狙い: 鍛えた筋肉を「使える筋肉」へ。ラクロス特有の「ダッシュ→ストップ」の繰り返しに耐えうる心拍コントロールと、乳酸耐性を高めます。
- ポイント: 全身を大きく使うメニュー(バーピーやマウンテンクライマーなど)で構成します。
- 効果: 試合の後半、周囲がバテる場面でもう一歩足が出る「粘り」が手に入ります。

まとめ:トレーニングは「試合」のためにある
トレーニングと聞くと「ムキムキになる」「パワーをつける」といったイメージが先行しがちですが、これらはあくまで「競技パフォーマンス向上のための副産物」に過ぎません。
「体を大きくすること」自体を目的にしてしまうと、動きの質が伴わず、残念な結果に終わることがあります。私は初回セッションで必ずお伝えします。「すべてはフィールドで100%の技術を出すためだ」と。
忙しい社会人こそ「効率的な刺激」を
練習時間が限られている社会人アスリートの方こそ、賢いトレーニングが不可欠です。週末の練習や試合が「ぶっつけ本番」になれば、当然怪我のリスクは跳ね上がります。
大好きな競技を、本気で、そして一日でも長く楽しめるように。「効率的な刺激」で、あなたのポテンシャルを呼び起こしましょう!

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